ヒルドイドとヒルマイルドの違いと差し止め訴訟に関して
「ヒルドイド」を製造するマルホ株式会社が「ヒルマイルド」販売する健栄製薬に対して販売差し止めを求める訴訟を起こしたことがニュースになりました。今回は「ヒルドイド」と「ヒルマイルド」の違いと訴訟のポイントについて書きたいと思います。素人意見なのでその点ご容赦下さい。( ´∀` )
ヒルドイドとヒルマイルドの違い
ヒルドイドとヒルマイルドの主成分はヘパリン類似物質であり、ヘパリン類似物質は保湿や血行促進などに優れた効果があります。その両者の違いですが表にすると以下になります。
項目 | ヒルドイド | ヒルマイルド |
---|---|---|
販売会社 | マルホ株式会社 | 健栄製薬 |
区分 | 医療用医薬品 | 一般用医薬品 |
価格 | 50g 355.5円(保険適用) | 60g 1,550円(市場価格) |
医師の処方箋 | 必要 | 不要 |
最大の違いは医師の処方箋の要否です。そもそもヒルドイドはアトピー性皮膚炎などの病気の治療を目的とした医療用薬品であり医師の処方箋無しでは買うことができません。価格も安いのは保険適用により自己負担額が3割になるからです。
実はヒルドイドは過去美容目的で処方を希望する患者が急増し一時期問題になりました。本来美容目的で処方されることは禁止されているですが、効果が高く自己負担額が少なく済むことから主に女性が処方を求めることが増えたことにより医療費が増大するという事象が起きました。
その結果、保険適用から除外することまで検討されましたが、日本皮膚科学会の反対もあり規制は見送られました。この出来事からグレーな処方できなくなったという事実があります。
このような背景の元、各薬品メーカはこのヒルドイドの需要をビジネスチャンスととらえ美容目的としたヘパリン類似物質を含有した一般用医薬品を販売するようになりました。↓
実はヒルドイドの販売会社であるマルホもコーセーと共同で『カルテHD』という商品を一般用医薬品として販売しているんですね。そこはかとなくどこのメーカも名前が似ている気がしますよね。( ´∀` )
マツモトキヨシ | ジャパンメディック | コーセーマルホファーマ | 健栄製薬 | |
---|---|---|---|---|
商品名 | ヒルメナイド | ヒフメイド | カルテHD | ヒルマイルド |
ちなみにヒルマイルドの見た目はこんな感じ。↓
なぜヒルマイルドは訴訟を起こされたのか?
マルホ株式会社は訴訟の理由を「『ヒルマイルド』の販売が『ヒルドイド』に係る当社の商標権の侵害及び不正競争防止法2条1項1号に定める不正競争行為に該当する」としています。

・商標権の侵害
・不正競争防止法
2点のポイントがあるということやな。
商標権をざっくり説明すると、商品やサービスについた目印である商標を保護することを目的とする権利でありロゴや名称が該当します。商標は特許庁に出願し登録されて初めて有効となります。特許庁の審査過程においてすでに登録された商標と類似していると思われる場合も出願は特許庁に拒絶されます。
まぁ例えば「キリンビール」に似せて「キリンビールA」みたいな出願をしても、一般に浸透している商標と類似しているので却下されるといった感じでしょうね。
1点目の商標権に関しては訴えられた『ヒルマイルド』はこの正式な手続きを踏んでおり、特許庁は商標自体は認めていることになります。
2点目の不正競争防止法2条1項1号ですが、同条では他人の「商品等表示」として需要者の間で広く認識されているものと同一・類似の商品等表示を使用し、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為を禁止しています。こちらに関しては法的に専門的な部分になるので、詳しくは弁護士法人クラフトマンのHPをご参照ください。
要はその商品と混同させるような表示をしてただ乗り的に利益を得ることを防止しようとしてるわけですね。
確かに『ヒルマイルド』という名称は『ヒルドイド』と似ている感じもしますし、『ヒルドイド』自身は美容目的の処方問題で有名になった為、美容に良いというブランド?イメージも浸透していると思われます。これに商品名(名称に限定されません)を似せることで消費者が誤認する可能性があると裁判所が判断するか否かが注目されますね。
但し、『ヒルドイド』は医療用医薬品であり、本来一般用医薬品である『ヒルマイルド』と販売が競合することは無いはずです。前述のとおりマルホは一般用医薬品として『カルテHD』を販売してますので、『ヒルマイルド』が売れることによって直接的に競合する『カルテHD』が売れなくなるという間接的な損害はありそうな気はするのですが….ここは専門的過ぎてよくわかりません。( ´∀` )
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