藤井聡太二冠が2021年に達成するであろう最年少記録 9段昇段

2021年2月20日

2/5に日本将棋連盟より2020年(2020.1.1~2020.12.31)獲得賞金・対局料ベスト10が発表され藤井聡太二冠が昨年の9位から順位を上げ4位にランクインしました。獲得賞金額は4,554万円!となりましたね。2021年も活躍が期待される藤井聡太二冠ですが、今年達成が期待される最年少記録「9段昇段」について書きたいと思います。

藤井聡太二冠が2021年に達成するであろう最年少記録 9段昇段とは?

別記事(棋士と女流棋士の違い 棋士に挑戦する西山朋佳女流三冠)も書きましたがプロ棋士は4段~9段の段位があり、プロになりたては4段からスタートし、最高位である9段を目指すことになります。その途中でタイトルを獲得した時はタイトル名(藤井棋聖、藤井王位など)で呼ばれますので段位は呼ばれることはないですが、藤井二冠は2021年2月現在で8段となっています。

藤井二冠は18歳1カ月で8段昇段を達成しており、これももちろん最年少記録なのですが今年は最高位である9段昇段の可能性があり最年少記録更新が期待されています。

この最高位の9段というのは棋士の中でも別格であり、2021年2月時点の現役9段は31名となっておりプロ棋士が170人程度であることを考えると全体の18%ほどしか居ない計算になります。

この9段にはタイトル最多記録を持つ羽生善治9段や現将棋連盟の会長である佐藤康光9段、永世名人の称号を持つ森内俊之9段、谷川浩司9段などのレジェンドと呼ばれる棋士から、現役のタイトルホルダーまで棋界屈指の実力者がいらっしゃいます。

つまり9段昇段とは棋界で高い実績を示してきた証ともなるわけですね。

【9段位保持者 2021年2月時点】

桐山清澄小林健二鈴木大介
南芳一森下卓木村一基
高橋道雄屋敷伸之行方尚史
青野照市福崎文吾阿部隆
田中寅彦中村修渡辺明
丸山忠久島朗豊島将之
藤井猛深浦康市羽生善治
塚田泰明久保利明谷川浩司
郷田真隆井上慶太佐藤康光
先崎学三浦弘行森内俊之
佐藤天彦先崎学佐藤天彦

9段昇段の条件は?

将棋連盟には昇段規定があり、一つ上の段に昇段するための条件が明確にされています。この条件は定期的に見直されるため、単純な比較は難しいのですが現在の9段昇段最年少記録渡辺明現名人21歳7か月となっています。

【日本将棋連盟 昇段規定】

段位昇段条件
九段竜王位2期獲得
名人位1期獲得
タイトル3期獲得
八段昇段後公式戦250勝
八段竜王位1期獲得
順位戦A級昇級
タイトル2期獲得
七段昇段後公式戦190勝
七段竜王挑戦
竜王戦1組昇級
六段昇段後竜王ランキング戦連続昇級または通算3回優勝
順位戦B級1組昇級
タイトル1期獲得
六段昇段後全棋士参加棋戦優勝
六段昇段後公式戦150勝
六段竜王戦2組昇級
五段昇段後竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
順位戦B級2組昇級
五段昇段後タイトル挑戦
五段昇段後全棋士参加棋戦優勝
五段昇段後公式戦120勝
五段竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
順位戦C級1組昇級
タイトル挑戦
全棋士参加棋戦優勝
公式戦100勝
四段三段リーグの優勝・準優勝
三段リーグ次点2回

この昇段規定を見ていただければわかるとおり、昇段するには①地道に勝ち星を積み上げるか②各タイトル棋戦で優秀な成績を納めることが求められます。①の場合は4段昇段から9段まで公式戦で810勝をあげる必要があります。但しこの810勝というのはかなり難易度が高いです。1棋士あたりの年間対局数は大体25局位ですので勝率が高くても数十年かかる計算になります。

現9段の先生方も多くはによって昇段をしており、藤井聡太二冠が8段に昇段したのも棋聖、王位の2つのタイトルを獲得した為です。活躍(各棋戦で勝ち残る)できなければ対局数も増えない訳ですから、当然のこととも言えますね。

藤井聡太二冠が2021年に9段になる可能性は?

藤井二冠2021年内9段になるには「タイトル3期獲得」を満たすしかありません。理由は以下のとおりです。

【藤井二冠9段昇段条件の達成状況】

竜王位2期獲得・・・1期も獲得していない為、×
名人位1期獲得・・・挑戦権が無いため×
タイトル3期獲得・・・現在保有中の棋聖、王位のどちらかを防衛で達成◎
八段昇段後公式戦250勝・・・勝ち数が満たないので×

すでに藤井二冠は棋聖、王位の2つのタイトルを保持しているので今年の防衛戦でどちらかを守ることができればタイトル通算3期目を獲得することになり、9段へ昇段します。( ´∀` )

個人的な予想になりますが、2021年内に藤井二冠が9段になる可能性はほぼ100%と思っています。その理由ですが単純に勝率が高いからです。( ´∀` )

藤井二冠の2020年の勝率は驚異の82.6%(38勝-8敗)となっています。また、藤井二冠はプロになってから2連敗までしか喫したことはなく安定して勝ち星を積み重ねてきています。

棋聖戦は5番勝負(先に3勝したものの勝ち)
王位戦は7番勝負(先に4勝したものの勝ち)

となっており、藤井二冠相手に少ない局数で勝ち越すのは非常に難しいです。
藤井二冠が今年9段昇段となれば19歳での達成となり今の記録を2年以上更新することになります。これはおそらく今後50年は破られない記録になるでしょう。

藤井二冠にとっての難敵は?

藤井二冠にとっての難敵といえば豊島将之現竜王になるでしょう。
藤井二冠と豊島将之現竜王の対戦成績は1勝6敗ととなっており大きく負け越しています。直近の1局だけ藤井二冠が勝利したわけですが、朝日杯将棋オープン戦という持ち時間が短い早指し対決だっただけにこの1局で勝負の流れが変わったと判断するのは早計と考えます。

これだけの高勝率を誇る藤井二冠が大きく負け越すということは相性の問題もあると思いますが、豊島将之現竜王がそれだけ強いということですね。

豊島将之現竜王は2021年の棋聖戦、王位戦ともに挑戦権獲得の可能性がありますので、もし藤井二冠の防衛を阻むものがいるとしたら豊島将之現竜王だと予想しておきます。

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のーま
今年も複数タイトルをとることがあれば正に世代交代って感じだね。
まだ羽生先生や佐藤先生にも頑張ってほしいしファンとしては複雑やな。