737MAX 運航停止命令解除に関してざっくり解説

2021年1月11日

少し前になりますが、アメリカのFAA(連邦航空局)は2020年11月に
ボーイング737MAXの商用運航停止措置を約20か月ぶりに解除すると発表しました。
2020年12月時点でアメリカや一部の国では運航が再開されてます。
また、罰金等を支払うことによって刑事訴追を猶予される司法取引が成立したという
ニュースがありましたのでざっくりまとめたいと思います。

737MAX 運航停止となった理由 【二つの墜落事故】

ボーイング737MAXはベストセラー機であるボーイング737の後継機として販売され
ボーイング社の稼ぎ頭として期待されていましたが、2018年、2019年に2件の墜落事故を
起こし運用停止となっていました。

発生日 運用エアライン 死者数

2018年10月29日

ライオンエア
※インドネシアの航空会社
189名

2019年3月10日

エチオピア航空
※エチオピアの航空会社

157名

墜落事故の原因

 事故原因は離陸時の失速防止システム「MCAS」の誤作動が主因とされました。
このMCASとはなんぞやという話ですが、Maneuvering Characteristics Augmentation Systemの略で操縦支援システムを指します。機体が失速するのを防ぐためのシステムでしたが、
誤作動を起こしたことで機首(航空機の頭)をパイロットの意図に反して下げてしまい墜落しました。

普通であれば自動運転を手動運転に切り替えることで事故を防げるはずでしたが、
MCASがパイロットに理解されておらず解除方法がわからずに墜落事故につながったと考えられています。

これだけだとパイロットの教育不足という感じがあるのですが、マニュアルにMCASの情報が
無く解除するのは難しかったという最終報告が出ています。

結果としてボーイングが罰金を課された以上はボーイング社に責があったということですね。

Left Caption

のーま

事故直後のアメリカのニュースサイトでは
パイロットに原因があるという見解もちらほら
あったな。

ボーイング社が払う罰金など  【約2,600億円】

ボーイング社は米司法省との取引によって罰金、遺族への補償金併せて約2,600億円を支払う
ことになりそうです。まぁ巨額ですね。普通なら倒産しそうです。( ´∀` )

詳細はYahooニュースが詳しいです。

ボーイング社の企業規模  【時価総額ベース】

ご存じの方も多いと思いますが、いわゆる旅客機メーカというのは 
アメリカのボーイング社とヨーロッパのエアバス社の2強です。
ここでヨーロッパと書いたのはエアバス社がフランス、ドイツ、イギリス、スペインの
4か国の出資によって誕生した企業だからです。
ある意味 アメリカVSヨーロッパということですね。

ボーイング社の時価総額ですが、この737MAX事故に関連して株価が下がった為
少し下がっておりますが、2021年1月8日時点で118,494,781千ドルですので
日本円で約12兆円(1ドル102円で換算)となります。
日本企業との比較では事故前は20兆以上ありましたので、当時はトヨタぐらいで今はソニーぐらいですね。

【日本企業の時価総額ランキング 2021.1.8時点】

順位 名称 時価総額
1 トヨタ自動車(株) 約25.9兆
2 ソフトバンクグループ(株) 約16.6兆
3 (株)キーエンス 約14.2兆
4 ソニー(株) 約13.5兆
5 日本電信電話(株) 約10.9兆

2,600億は巨額ですがこのレベルの企業になると単年で営業利益1兆稼ぐときもありますから
そこまでの金銭的なダメージではないかもしれません。もっとも企業のブランドイメージに
傷がついたことは間違いないですが。

日本のエアラインへの影響

2021年1月8日時点で日本のエアラインで737MAXを導入しているところはありません。
ANAは導入を計画しているようですが、発注はされていないようです。
ボーイングのホームページを見る限りやはり大口顧客はアメリカのエアラインですね。
日本のエアラインはコロナ禍でかなり厳しい状況ですので、新機体の導入は先の話になる
かもしれません。